◆学習支援にたずさわる方に、
ご紹介したい書籍、DVD、論考などのページです。以下にご案内するのは・・・
必読書
・遠山 啓 『数学の学び方・教え方』 岩波新書
・滝川 一廣 『学校へ行く意味・休む意味…不登校ってなんだろう?』 日本図書センター
参考書
・コメニウス 『大教授学』 明治図書
・ダイアモンド 『銃・病原菌・鉄』 草思社、ナショナルジオグラフィック社
専門書…プロをめざす方には必読書
・結城 忠 『生徒の法的地位』 教育開発研究所
・神田橋 條治 『精神療法面接のコツ』 岩崎学術出版社
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遠山啓 『数学の学び方・教え方』 岩波新書
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・学習支援は、この本の前半部を熟読したのちに始めれば、子どもたちが算数・数学で混乱する事態に陥る確率を低くすることができます。(後半部は、p.187以外、読まなくても問題ありません)
・小学1年生から算数の力を堅実かつ滑らかに伸ばす、計算問題を並べる最適の順序は?
・東京工業大学の初代理学部長だった数学者・遠山啓(とおやま・ひらく)は、この一見シンプルな問いに答えるために、日欧の近代数理哲学のアポリア(難題)を解決して、対抗原理と技法を新たに構築しなければなりませんでした。
・時は終戦後。アメリカ製「生活単元学習」に基づく教科書が、遠山の娘はじめ、日本中の子どもたちの算数力を著しく低下させていました。
・遠山は数年間の研究を経て、「量の体系」(1957)と「水道方式」(1958)と名付けた新理論を発表。これに基づく教科書の授業が、日本各地の学校教師によって研究開発されました。
・さらに1960年代後半、東京都立八王子養護学校の教師陣と、重い知的障碍をもつ子どもたちへの数学指導法を共同研究開発。
・これら15年におよぶ研究の蓄積が1972年、岩波新書『数学の学び方・教え方』に結実します。
・遠山は翌1973年から、癌で亡くなる1979年9月11日まで6年間、教育市民運動『ひと』の活動と執筆に命を捧げます。
(余談ですが、その延長線上に1985年、埼玉県飯能市に設立された私立中高「自由の森学園」の鬼沢真之理事長は、本田の大学サークル仲間)
・文部省と日教組が和解した1995年以降、文科省検定教科書は、遠山『数学の学び方・教え方』の理論と技法も採用するようになりました。
・この本の有効性は、算数・数学にとどまりません。
・小中高/英数国理社の、学習支援法を構築するための、基本原理と基礎理論を学ぶことができます。明治-大正-昭和の、教授学史の内部実態を知ることもできます。
・国語の「論理エンジン」も、英語の「ロジカル・リーディング」も、この本の理論と技法が、半世紀をへて現代日本人の知の深層に浸透していたからこそ、成立し得えたのかもしれません。
・拙著2冊『大学院受験英語ルウレ方式』『英文法ゲーム104』の英語指導理論も、この『数学の学び方・教え方』をはじめとする遠山啓の全著作を土台にしています。
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滝川 一廣 『学校へ行く意味・休む意味…不登校ってなんだろう?』 日本図書センター
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戦後67年間に著された膨大な教育書の中で、最も優れた一冊であると思われます。
著者は、世界有数の児童精神科医です(現在、学習院大学教授/臨床心理学)。
滝川は、「学校」のフェンスの外部で、さらに、「教育学ムラ」と無縁である医療の領域で、
40年以上、学校に通うのが難しい子どもたち一人一人と真摯に向き合い、
発達障害の子どもたち一人一人と共に歩んできました。
この本は、表向きは、不登校の解説書ですが、
実体は、フランス革命から、明治維新を経て2012年秋に至る、
日本の教育-学校-子ども-家族-社会-労働-歴史-精神医学の、
複雑に絡み合う構造の本質を、可視化することに成功した、世界初の本です。
この一冊を熟読して頭に入れれば、教育や子どもに関わる自分が、
日本近現代史の流れの渦中で溺れそうになる自分が、
どこから来て、なにを為そうとしているのかを、見通すことも、できるようになるかもしれません。
(当サイト内に、2014年内に、この本から抜粋して作成した年表を公開する予定です)
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コメニウス 『大教授学』 明治図書
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・学習支援者のバイブルです。 いつでも、どこを開いても、新たに学べる箇所が見つかる、奥深い本です。生涯、手元に置いて、繰り返し読み返す価値のある、人類の宝です。
・コメニウス(1592-1670)は、400年前のヨーロッパで、学習支援の理論と技法の構築に命を懸けた、教育思想家・実践家です。
・遠山啓は、上記の理論と技法を構築するにあたり、まず梅根悟&勝田守一監修『世界教育学選集』(明治図書)全90冊を通読しました。その中で唯一「感銘を受けた」のが、この『大教授学』です。
・コメニウスの思想は、後のルソー、ペスタロッチ、フレーベルらの教育思想に影響を与えました。
・幼児教育の重要性も児童中心主義も、私たちの誰もが自明のことと考えますが、そのルーツは、このコメニウス『大教授学』なのです。
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ジャレド・ダイアモンド 『銃・病原菌・鉄』
本/草思社、DVD/ナショナルジオグラフィック社
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・極大化した世界の貧困格差。その原因はただ一つ、地球の地理的条件だった―
・1万年の人類史と500年の近代史という時間軸と、地球儀という空間軸との両軸から、拡大を続ける人類の経済格差の原因を、明快に解き明かします。
・学習支援はじめ、教育や福祉、医療の現場に居ると、つい眼前の子どもたちやクライアント様しか見えなくなるものです。
・それはしばしば私たちのストレス源にもなりがちです。
・この本とDVDで、私たちは自分自身の立ち位置を、人類史的に全地球規模で、鳥瞰的に把握することができます。
・それは、「お子さま絶対観」をやんわりと相対化して、私たちの教育ストレスを、すこし軽減させてくれるようです。
・英語教育や国語教育など言語教育に関かる方には、下巻・第12章「文字をつくった人と借りた人」は必読。文字と音声の、受信と送信を、区別せよ。文字の発明と伝播が人類にとっていかに困難であったかを深く知ることができます。
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結城 忠 『生徒の法的地位』 教育開発研究所
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・結城忠(ゆうき・まこと1944-):教育法学者、元日本教育行政学会会長、 国立教育政策研究所名誉室長
・そもそも学校教育の目的は何か、学校のレーゾン・デートルは何処にあるのか。それは、児童・生徒を「自律的で成熟した責任ある市民=パブリック・シチズン(public citizen)」へと育成することにある、と言えよう。(「はじめに」より)
・結城の教育法学は、どこまでも子ども本位。温かくて骨太のお人柄をバックボーンとするこの本は、「子どもの貧困対策法」の制定に必要な、強靱な法理論の根幹を構築するのに有益な示唆を、多く含んでいるのではないかと感じられます。
---目次---
第1章 明治憲法下における生徒の法的地位
第2章 法治国家原理と生徒の法的地位
第3章 教育主権と生徒の基本的な権利・義務
第4章 子どもの人権と生徒の法的地位
第5章 教育を受ける権利(学習権)の法的構造
第6章 学校教育における国旗・国家の取扱いと生徒の思想・良心の自由
第7章 生徒の「信教の自由」と学校教育
第8章 生徒の人権と生徒指導法制
第9章 生徒・親の知る権利と教育情報の開示
第10章 学校における生徒のプライバシー保護
第11章 障害児に対する教育保障
第12章 外国人の子どもの教育と法制上の課題
第13章 私学の自由と生徒の基本的人権
第14章 子どもの権利条約と学校教育
第15章 子どもの人格的自律権と親の教育権
補章 ヨーロッパ諸国における少年法制の構造
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神田橋 條治 『精神療法面接のコツ』 岩崎学術出版社
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・暴力的な発言や行動を自制できない子ども・青年やモンペアさんなどとの対応で、私たちは疲れ果てることになりがちです。
・世界屈指の精神科医による難解なこの本を咀嚼しようと努力することで、彼ら彼女らの心の深層構造が、少しは理解できるような気分になります。そのことが、学習支援者自身の気持ちが高ぶる要因を客観化し、相対化します。結果、私たち自身の精神疲労は、若干、小さくなるような気がします。