『児童心理』編集部からの依頼で、2000年夏に書き下ろしました。
当サイト掲載稿との重複箇所は、多くを割愛しています。
金子書房『児童心理2000年8月号 特集 励まし上手な親』 所収
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フリースクール発・学習援助療法
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◆勉強はどこからでも何歳からでも割り込める
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学齢期の子どもたちにとって、学校の勉強と成績、進級と進学の問題は、決して小さいとは言えない。
不登校生に限らず、成績優秀な子でさえ、巨大な知的コンプレックスを抱えている場合も少なくない。
何をどうすれば、私たちは彼らの味方になれるのか。
「俺は馬鹿じゃなかったんだ!」と知力への自信を回復し、
「私も捨てたもんじゃなかった!」「生きててもいいのね…」と、
実存への確信を彼らが自力で獲得できる最善の方法は何か。
学校の先生から「君は偉い」とか「あなたはかけがえのない存在なのよ」と
いくら言葉で励まされても、
塾やフリースクールの先生から「学ぶ喜び」をいくら教えられても、
子どもたちの学業不安と実存不安は解消しない。
子どもたちは学校のテストの点数が実際に上がり、高校や大学、大検に合格しなければ
「自分の知力が社会に認められた」とは実感できない。
実はこれが現実なのだ。
なぜか。
一条校(学校教育法第一条に定められた学校=幼小中高大専)内部のテストの成績と
入試と大検以外、現代の日本を生きる子どもたちが知的能力を社会的・法的に
自己確認できる制度を、私たち大人が用意してこなかったからである。
(残念なことに、このあたりの子どもたちの心の機微を御理解いただける教育関係者は
まことに少ないといってよい)
そこで私は、最短期間に最小努力で最大効果をあげる学習援助の技法を開発することが
子どもたちの一番の励ましになると考え、研究を続けてきた。
その成果の一つが一九九八年秋に朝日新聞で大きく紹介された拙著『英文読解ルウレ方式』
(メディアファクトリー刊)なのだが、(右列の本→)
もう一点、研究開発の過程で次のような確信を得た。
数学でも英語でも、勉強はどこからでも何歳からでも割り込める。
勉強が積み上がるというのは誤解であり幻想である。
一点突破全面展開の割り込み可能な教授法が、どの科目のどの単元にも必ず存在する。
学習援助の仕事を続けて二十二年になるが、昨年一九九九年から「学習援助療法」という概念で
これまでの蓄積を総合できるのではないかと考え始めた。
まずは学校や児童相談所等に勤める臨床心理職の方々に向けて一冊の本にまとめるのが、
間接的だが私にできる全国の子どもたちへの励ましになると信じて、
執筆に取り組んでいる最中である。
補・・・「生徒を励ますのは教師の仕事のコアで当たり前のこと。 むしろ生徒が教師を励まし、教師が親に励まされることの自覚が重要なのだ」という持論や、 「励まし性善説批判」「励まし礼賛批判」等も一言加えておきたかったのですが、紙数の関係で割愛しました。
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