学習支援のコツと教材…心得、目的、目標、根拠、そして教材

学習支援の心得
学習支援の心得

 

学習支援は、楽しいこと、嬉しいことばかりではありません。

腹が立ったり、ヘコんだり、悲しくなるのは、日常茶飯事ですし、ときには怖い目にあうことだってある仕事です。

 

それでも私たちが学習支援を途中放棄せず、20年30年と続けてゆくには、何を、どう考えて、どこに位置づけておくのがよいのでしょうか。

 

私たちが学習支援を継続するのに必要な心得、学習支援を持続させる目的と目標、その根拠などを、御一緒に考えてみましょう。

 

  

学習支援者の心得その1=勉強の苦手な子が私の教師

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私たちの教師は、勉強の苦手な子どもたち1人1人です。

 

私たちの眼前で、勉強がわからなくて困り果てる子を、助けたい。

私たちの傍らで、勉強ができなくて悲しむ子の、力になりたい。

 

勉強がよくわかるように教えたり、すらすらできるようにさせるのは難しいけれど、

勉強がわからない苦しみ、勉強ができない悲しみは、よくわかるよ・・・

勉強が大変なのは、君1人じゃないさ・・・

私たちがいつもそばに居るから、一緒に勉強してみようよ・・・

私たちも、君が勉強がよくわかって、できるようになる教え方を、一生懸命、勉強するからね・・・

 

こんな利他の感触が、学習支援を継続しようとする私たちの意思を支えるように思われます。

 

 

学習支援者の心得その2=「頭がいい」「頭が悪い」の使用は厳禁

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「頭がいい」「頭が悪い」の使用は厳禁です。

試験の3条件は 1:制限時間 2:減点法 3:出題範囲既定 ですが、人間の多種多様な能力は試験で点数化できるほど貧小ではないのです(by数学者・遠山啓)。

成績や偏差値の高低で人や学校を「頭がいい」「頭が悪い」と言いそうになったら、「勉強が得意」「数学が苦手」などと言い替えましょう。

この言い替え努力が、人間を観る物差しを多元化し、他者と自己の「独自性」を把握する感度を高めます。

(「自己承認感@@@を育てる学びのコツ」〈表2〉toBe塾のルールと考え方より)

 

 

学習支援者の心得その3=指導法は二刀流であるべし

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・「教え方に正解はない」は、生徒に対しては、誤りです。

これは、勉強が分からない・出来ないのを生徒のせいにする考え方です。

教え方の下手な教師に「逃げ道」を作ることにつながります。

・「正しい教え方は1つではない」または「正しい教え方は複数、在る」と考えながら授業をすると、勉強が分かって、出来るようになるお子さんの数が増えるように思います。

教育の世界には、対立する多種多様なドグマが存在します。

どれもこれも、我が教育言説こそベスト、と主張します(当サイトの言説も例外ではありません)。

その中のどれか1つにだけに帰依すると、必然的に、

眼前の生徒さん親御さんとの間に、ほぼ必ず、軋轢(あつれき)が生じます。

学習支援を10年20年と続けるには、対立する複数のドグマを体得したうえで、

生徒さん1人1人の特性に応じて、それらを自在に使い分けられるようになるのがコツです。

なぜなら、子どもたち1人1人の特性は、1人1人大きく異なるのですから。

参考までに、教育業界400年来の、よく知られたドグマを列挙してみましょう。

  ・易から難へ vs 難から易へ

  ・筆算から暗算へ vs 暗算から筆算へ

  ・一般から特殊へ vs 特殊から一般へ

  ・「わかる」から「できる」へ vs 「できる」から「わかる」へ

  ・具体から抽象へ vs 抽象から具体へ

 

 

学習支援者の心得その4 一斉授業とこべつ授業は原理が異なる

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学校の「一斉授業」と学習支援の「こべつ授業」は、方法と目的が原理的に異なります。
学校は、一斉授業です。
一斉授業の方法と目的は、学校で、生徒集団に、教科書を、伝達する(communicateコミュニケート)ことです。

学習支援は、こべつ授業です。
こべつ授業の方法と目的は、公民館などで、生徒一人と、教科書で、同期する(synchronizeシンクロナイズ)ことです。

学生さんは、一斉授業の体験が無いことが幸いしてか、こべつ授業の上手な方が少なくありません。
ベテラン学校教師や退職教員に、眼前の生徒一人とシンクロナイズしながら進行させるこべつ授業が上手に出来ない方が散見されるのは、一斉授業の玄人である/あったことが災いするからなのかもしれません。

シンクロナイズに上達するコツは、次の2点でしょう。
 1.学習支援者自身が「こべつ授業がこの世で一番楽しくて面白い!」と思っていること
 2.学習支援者自身が勉強好きで、知的好奇心に満ち溢れ、常に知的活性化していること

学習支援の現場で、支援者がシンクロナイズではなくコミュニケートに励むと、生徒の心を傷つけたり、生徒を勉強嫌いにさせる可能性が高まります。

学習支援スペースの主催者は、一斉授業とこべつ授業は原理が異なることを深く理解し、学習支援者がシンクロナイズこべつ授業を行っているかどうか、常に目を光らせていることが重要です。

 

 

学習支援の目的は、子どもの幸せ

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1条校(*)教師は、仕事の目的や目標を、自分で考え出す必要がありません。

学校の目的や目標は、勤務校の経営トップや自治体が策定済みですし、

教育の目的や目標は、教育基本法に定められているからです。

 (*1条校 いちじょうこう・・・学校教育法・第1条に定められた「学校」=幼小中高大専盲聾養)

 

いっぽう、1条校の外部に身を置く私たちは、

学習支援の目的、目標、根拠、方法論を、自分たちの頭で、独自に案出せねばなりません。

私たちは知恵を寄せ合って、「学習支援学」のような、学習支援の基礎論となる考え方と技法を

提供する学問分野を、新たに構築する必要に迫られているのかもしれません。

 

学習支援の目的は、何でしょうか?

 

「学習支援の目的は、子どもの幸せである(*)」と、私は考えます。

子どもたち1人1人が、実存的に、充実した人生を築き、幸せになることを、

学習支援の目的に設定して、私は約40年、こべつ授業を続けてきました。

 * これは実存本位の考え方であり、国家本位の(現行)教育基本法・第1条と原理的に対立します

 

 

学習支援の目標は (1)独習力の根幹を培うこと (2)高校合格・大学合格

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医療、福祉、教育の現場に身を置く個人は、目標の設定を明確にしておかないと、

仕事の方向性がブレて、努力が無に帰したり、かえってマイナスの結果を招いたりする比率が高まるように思われます。

 

学習支援の目標は、何でしょうか。

生徒1人1人が、幸せな人生を築くことができるようになるために、

私たち学習支援者は、何を目標に設定すればよいのでしょうか。

 

2つある、と考えられます。 

 

ひとつは、生徒1人1人に、独習力の根幹をつちかうことです。

中学、高校、大学、専門学校を卒業して、社会に出たとき、身近に教えてくれる人が居なくても

自分に必要な事を独習できる力の根幹を、学齢期にいる間に、生徒1人1人に体得させる。

 

学習支援のもうひとつの目標は、高校進学、大学進学を、あきめなくて済むように、

高校合格、大学合格に必要な受験学力を、生徒1人1人に獲得させることです。

 

 

自己承認感の獲得が幸せの条件

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学習支援の目標を、高校合格、大学合格を保障する受験指導に設定する理由は、

自己承認感の獲得が、幸せの条件だからです。

 

・「自己承認感」は、哲学者ヘーゲルの承認論に基づく、本田の造語です。

(ヘーゲルの承認論は、西研『ヘーゲル・大人のなりかた』NHKブックス が秀逸、一番わかりやすい)

・自己承認感とは、〈独自性〉を有するこの自分は、この世界に存在し続けていてもよいのだ、と

自己の実存を承認する意志のことです。

・自己承認感は、自分の物語を生きる、希望の源泉です。

・自己承認感を獲得していれば、小中学生は成績が伸びなくても、勉学を放棄しません。

高校生は自律的で成熟した責任ある市民へと育って(結城忠・教育法学者)、

社会的弱者の味方になれる職業をめざすことだってあります。

大学生は人生の困難が続いて、鬱や心身症になりかけても、

浮上する勇気が生まれることも希ではありません。

 

 

自己承認感=個人からの承認×社会からの承認

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・自己承認感の獲得には、個人からの承認と、社会からの承認の、

2方面からの承認が不可欠です。

・個人からの承認感は、肉親か育ての親から得られます。

思春期以降は友達や恋人、配偶者、我が子らから、得られるでしょう。

・問題は、社会からの承認感を得るための装置・ルートです。

・大人は、職場の肩書きや諸々の身分証明書で、社会からの承認感を得ることができます。

 (このことを自覚している大人は僅少ですが・・・)

・子どもたちは、どうでしょう?

日本社会において、子どもたちが社会からの承認感を得ることができる装置・ルートは

学校(学校教育法第一条に規定された「学校」)関連である、次の4つだけのようです。

 

(1) 学校の生徒証・学生証

(2) 学校のテストの点数と通知表の成績

(3) 高校入試・大学入試の模試の偏差値

(4) 高校合格証書・大学合格証書

 

日本に生きる子どもたちが、社会からの承認感を得る装置・ルートを、

私たち大人は、これら4つしか用意して来なかったのです。

私たちが学習支援の目標を、高校合格、大学合格に設定する根拠が、ここにあります。

 (参考:拙稿 塾から自己承認感がはぐくまれる )

 

 

独習力の必要条件は、計算・漢字・英文法

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では、独習力の根幹を培うための必要条件は、具体的には、何でしょうか?

 

それは、中学校卒業レベルの、計算と、漢字と、英文法、の3大スキルです。

 

この3つのスキルさえ十分に習得していれば、その他の、この世の大半の事は、

子どもたちは独習できるものです。

大学進学も、この3大スキルさえしっかり体得していれば、独習でモノにできるのです。 

これは不登校生、元不登校生、高校中退生、ニート、年配の中卒者らの1人1人に、

小中高/英数国理社を教えてきた25年の間に、彼ら彼女らが築いてくださったtoBe塾の

合格実績から得られた確信です。 (toBe塾生の合格実績

  

 

高校受験と大学受験の学習支援、受験の心得

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さらに、高校進学、大学進学を夢見る子どもたちには、計算・漢字・英文法のスキルを土台にした、

高校と大学に合格する学習支援 および 受験の心得 に関する知識・情報が必要です。

 

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